塩の道 逆走 Bike Packing [ DAY2 ]

塩の道 逆走 Bike Packing [ DAY2 ]

夜中から降り出した雨は朝起きるとすでにそこそこ強くなっていたが、奇跡的に見つけた超快適な屋根のおかげで問題なし。 全員一列に並んでビビーに潜り込りこみ、吹き込みも気にせずに朝まで熟睡することができた。 こんなふうに僅かなスペースさえあればどこでも幕営できるビビーの自由度の高さはこういった旅のスタイルでは最強の武器になる。 雨が降ってなければ屋根だっていらないし、これが我らが愛するゴロ寝スタイル。笑 雨はあまり弱まる気配がない。 昨日のロードオンリーのコースから今日はいよいよ塩の道トレイルの核心部に入るし、そこそこタフな一日になりそうな予感しかないが、同時にこの先に待ち構えるオフロードセクションを思うと自然と気持ちが高ぶってくる。 まずは、各自でコーヒーを入れたり、軽い朝食を済ませたりしながらゆっくりと出発の準備を始める。 出発は8時過ぎ、まずは小谷方面に向けてゆっくりと自転車を漕ぎ出す。 白馬岩岳〜小谷栂池にかけてはしばらくアスファルトの山道が続くが、いよいよ塩の道トレイルの入り口にはいるとそこからはトレイル天国! 細かいアップダウンが連続する気持ちのいいトレイルを進む。登りも下りも乗車率ほぼ100%!これは最高だ!と雨も忘れるくらいにテンションMAXに。 塩の道トレイルは小谷〜糸魚川の区間は大きく東ルートと西ルートに分かれる。僕らはオフィシャルコースマップの「千国越えルート」から西側の「石坂越えルート」を行くことにした。MAPを見るとわかるがこの石坂越えルートは国道148号に沿うようなルートになっている。やはりオフロードでアップダウンの多いトレイルは下りが早いMTBとはいえロードに比べ圧倒的に距離が伸ばせない。ゴール地点の糸魚川まではDAY2、DAY3で残り約60〜70 kmの道のりだが、今日のここまでのペースでいくと1日30km進むのが限界かなという印象だった。また最終日は昼ごろには糸魚川のゴール地点に到着したいので実質的に残された時間は1日半になる。この先のトレイルの状況も未知だったので、状況次第ではいつでも国道にエスケープして先に進む事ができる石坂越えルートを選択した。逆に東側の千国越えルートは峠越えの連続でタフそうではあるが、もしかすると最高のダウンヒルができるかもしれないし、いつかはこちらのルートも行ってみたい。 さて、実際に走ってみるとこの「千国越えルート」〜「石坂越えルート」はトレイルもよく整備されているし、いたるところに歴史を思わせる石仏や石碑が多く見られるので、楽しいライドに加えてさらに「古道」ならではの魅力も味わえる素晴らしいコースだった。またトレイルもずっと続くというよりも途中何度も昔ながらの小さな集落に出たりすることが多いが、そういった景色の移りかわりもまたトリップ感を増幅させてくれる要素になっている気がする。 このエリアは自分達が求めているMTBでダウンヒルを楽しみながら先を進むというBIKE PACKINGスタイルの理想的なルートの一つだと思う。世界的に見てもこんなに山の中にまで細かく道路が発達した国はこの日本くらいしかないが、だからこそ道路とトレイルを細かく繋ぎながら、ダウンヒルを楽しむことをメインに考える今回のトリップのようなBike packingのスタイルが可能になる。この塩の道小谷エリアにはそんな要素が凝縮されている気がする。 午後4時回った頃、北小谷駅を過ぎたくらいのところでそろそろ今日の宿泊地を見つけようということに。 ただこの小谷エリア、幕営地になるようなキャンプ場がなく民宿などの宿泊施設も殆どないのが唯一のネック。 この日もひとまず姫川温泉郷まで行ってそこでどこかステルス泊ができるような場所を探そうとなり、国道148号を走っていると途中でいきなりMoose石田さんが「なんか硫黄の匂いがするよ」とストップし周囲を見回す。と全然気づかなかったが前方に「温泉」の旗が立っている。すかさずその場でGoogleで調べてみると、まったくノーマークだったがなんと天然温泉施設のすぐ脇でキャンプもできるということが判明! Day1に続きこんなミラクルあるんだなぁと皆で大喜びしながら、この日のヒーローになった石田さんを称える。笑 国道から姫川 の渓谷に向かって降りていくと壮大な渓谷にポツンと佇むディープないい感じの雰囲気の温泉施設が。もう完全に当たりです。 「湯原温泉 猫鼻の湯」どう見てもフルDIYな作りの建物の中はこれまた山小屋を思わせるナイスな雰囲気。また料金もリーズナブルで、なによりも源泉掛け流しの泉質は最高。しかも小屋にはビールまで売ってるし。本当に言うことなしの最高の秘境です。 さらにこの日は平日というのもあってか、自分たちの他にはお客さんはいない貸切状態。 しかもここの店主のおじいさんがかなり変わった面白い方で、7時頃に「俺はもう帰るけど泊まってる人はいつでも好きに風呂入っていいし、この小屋で寝てもいいからな。」と言い残して帰るという予想もしない展開に。笑 もうこれ以上ない最高の宿泊地で、この日も快適で楽しい夜を過ごさせていただきました。 塩の道トレイルを行くなら、この「湯原温泉 猫鼻の湯」は絶対におすすめです!   焚き火を囲んで談笑を楽しんだあとは、寝る間際にもう一度露天風呂に入って本当に贅沢な夜でした。 Day3につづく。

塩の道 逆走 Bike Packing [ DAY1 ]

塩の道 逆走 Bike Packing [ DAY1 ]

ずいぶん時間が立ってしまったが今年6月に行ったBike packing 塩の道について。 今回選んだルートは江戸時代に糸魚川から松本まで塩を運ぶ路として栄えた日本の古道「塩の道」 「塩の道」を今回の旅のルートとして選んだ理由だが、まずは自分たちがBike packingで2泊3日くらいかけて行くのにちょうど良さそうなルート。また”旅感”もほしかったので距離もそこそこ走りたい。(今回は3日間で約120km)。そしてトレイル、できればトレイルダウンヒルができるような山サイセクションを含むルートで探していた。 また塩の道はここ3年ほどOMM LITE BIKEの開催地としてお世話になっている白馬、小谷村もルートに入っているため一部イベントのコースとしても使わせてもらったこともあり部分的だがトレイルの雰囲気のイメージもあった。何より個人的にも馴染み深さを感じていたこともあったので、ぜひこのルートを走ってみたいと思った。 また逆走にしたのは、最後のゴール地点が海のほうが盛り上がるんじゃないかという単純な理由がほぼ8割、それにルート的に山側から海側を目指すわけだから逆走のほうが下り基調でバイクで下れるセクションが多いんじゃないか?と予想したから。 ということで、いつもどおり出発直前の2日前くらいに行く場所が決定し(笑)、今回の旅のメンバーのNomadics 千代田、服部と、名古屋のOUTDOOR SPECIALITY MOOSE の石田さんと自分の4人で出発地点の松本駅ちかくのコインパーキングに10時に集合する。 そこから準備したりなんだかんだで結局出発は11時前くらいに。まずは出発点の「牛つなぎ石」を目指す。   松本から安曇野あたりまでは街中や平地なのでロードがメインだがきれいな用水路沿いの小道だったり農道を自転車で走るのは意外にも退屈はしない。 ただこの区間はほぼ標識的なものがないので注意。自分たちは塩の道トレイルのオフィシャルサイトに掲載されているコースルートを事前にフィールドアクセス上にピン📍を落としておいたのでそれをたより進んでいく。 それがまた「ここ塩の道?」「あってるよね?」みたいな感じで変なところに迷い込んでしまったり、ルートを探しながら進むのがかえって冒険心をくすぐられる感じで面白い。 正直、歩きでは間違いなく退屈な路もバイクのスピード感や仲間とのツーリング感覚なら全然楽しめる。 「塩の道は歩きよりむしろバイクの方が向いてるんじゃないか」と思うくらいまだまだ序盤も序盤なのだがこの時点ではBikePackingのルートとしてかなり良い印象。   大町に入るころからようやく「塩の道」の文字が入った看板が出てきたり。ゆかりのあるスポットが出てきたりと、やっと「塩の道」っぽい雰囲気が感じられるようになってくる。笑 また長かった平地エリアから山に近ずいてくるにつれて自然も豊かになり、とくに木崎湖〜青木湖の湖畔エリアはアスファルトだけどバイクで走っていると本当に気持ちが良い場所だ。 1日でも街や自然の移り変わる景色から感じられるこの凝縮されたトリップ感は、徒歩では味わえないバイクツーリングならではの醍醐味なのかなと思う。 11時に松本を出発してから約7時間、18時くらいにこの日の宿泊予定地にしていた白馬村に入る。この時点での移動距離が約60kmちょっと。途中お昼を食べたり寄り道したりとかなりのんびり進んできたのだがそこそこの距離を走ってこれている。やはりロードしかも殆どがフラットな平地だと自転車はあっという間に進みますね。全行程が120km なので距離的にはもう半分来ている計算。ただ明日からは本格的な塩の道トレイル、山道に入っていくのでこうはいかないはず。そういった意味でも1日目はツーリングメインのセクションだったけど3日間の旅としてはこれはこれで良いアクセントにってると思います。 時間もちょうど夕食時だったので、この日は白馬の名店「白馬飯店」でちょっと豪華なディナー。 ハイキングなら一度山に入れば途中でこんな豪華な食事をするなんてことはまず無いが、そこがまたBIKE PACKINGの違うところ。絶品の麻婆豆腐に白馬ビールという最高の組み合わせを味わいつつ、皆で今日1日の旅について振り返る至福の時間。正直めちゃくちゃ楽しいわけです。笑   8時ごろに店を出るとあたりはすっかり暗くなってる。ずいぶんのんびりしていたが、実はまだこの時点で宿泊場所が決まってない。しかもこの日は夜から雨予報だというのに、4人全員でシェアしようとなっていた大判のタープを千代田が忘れるということがこの時点で判明!笑  しかしそんな状況でも「先に風呂にする?」「でも風呂に入ってから宿泊地を探したくないよね。」とか本当にのんきに計画性のかけらも無い会話を4人でしながら、とりあえずは「屋根のある」宿泊場所を探そうということに。笑     自分の記憶の隅のほうに岩岳の近くに東屋があったような気がしていたので行ってみるが完全な記憶違いでなかった。笑 橋の上から松川の河原を眺めながら「あの岩の脇で寝ようか?」「いやいや無いだろ」とかアホみたいな会話をしながら、幕営地難民さながらウロウロしていると、まさかまさかの奇跡が。 松川の河川敷沿いにポツンとあった東屋はちょうど4人がピッタリ雨宿りできるくらいのサイズで、しかもまさかの焚き火床まで搭載! 信じられないくらい超快適な寝床をゲット。 超快適な屋根の下、焚き火を囲みながらコンビニで買ったビールで乾杯。 最高の気分で全員ビビーに入り暖かく就寝。 day2につづく